ひとの感想が聞きたいからまずは自分から書いてみよう

アマプラで見た映画の日記です。すかしたレビューもします。

今ならアマプラ無料、ロング・ライダーズの感想/破滅の美学の後味のよさ、かっこよさ満載

西部劇は長いから嫌?ちょっと待ってくれ!

確かに、西部劇を見ようと思ってオススメを調べてみればまず最初に出てくるのは夕日のガンマン続・夕日のガンマンあたりの上映時間がとても長い名作に当たるでしょう。

それならば最近になって作られて見てみようと調べてみても、ジャンゴ 繋がれざる者ローン・レンジャーなど、3時間に及ばないにしてもやっぱり長い作品ばかりです。

上記に挙げた映画はいずれも私のオススメですが、アマプラ無料でサクっと見て欲しい作品かと言われると話が変わってしまう。

なぜ上映時間が長いのか。それは、続・夕日のガンマンが南北戦争を股にかけた善玉と悪玉の決闘というある意味神話的なプロットで描かれたように、アメリカの神話、ギリシアの英雄のように一時期実在して消えていったものとして表現されているからです。

もし、桃太郎の映画を作ることあれば、お供の動物のどれかを登場シーンをカットする脚本家が恐らく稀であるように、やらなきゃいけないことが多い。それが神話的な作品の持ち味であり、欠点です。

もちろん西部劇はそれだけのジャンルだけではありません。神話的プロットに囚われず、趣向を変えることによって上映時間の長さを取り払った作品だってあります。

それが破滅の美学、時代の波に消えていった悪党を主役にした作品です。

https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B09PQD1GGG/ref=atv_dp_share_cu_r

あらすじ

南北戦争終結後のミズーリ州ジェイムズ兄弟率いる強盗団は銀行や駅馬車、鉄道を次々に襲撃し、荒稼ぎしていた。鉄道や銀行などの東部のブルジョア層を狙っていたため、地元住人のなかには英雄視するものもいたが、標的だって黙っちゃいない。

ついにピンカートン探偵社から刺客が送られたことをきっかけに、一行は徐々に稼ぎを失い、仲間と別れ、最後のときへと向かっていく…

この映画のここがおもしろい

悪党たちの会話劇、日常の景色の描写だけでシナリオの進行度を示しており、テンポが極めていいところが一番のオススメポイントです。

この映画は襲撃→会話→襲撃→会話…だけでシナリオが進行します。

それだけ聞くと何が面白いんだと思われることでしょう。しかしこれが作品のテンポを保ち、キャラクターの紹介や状況の説明などのクドさを取り除く要素として機能しています。

冒頭の銀行強盗から地元の盛り場に戻ったときのワンシーンですぐに理解できることでしょう。一行はトランプ遊びにしけこみながら酒を飲んで一休みしているのですが、背後から奴隷解放を賛美するような歌が聞こえてきます。

すると、歌手を脅し、ピストルでリクエストを通してしまいます。

さらにその後現れる友人や家族、腐れ縁の娼婦などの仲間たちの会話から、彼らが南北戦争の敗残兵というバックグラウンドを持ち、悪党に身をやつしたことが台詞でも補足説明がされますが、歌詞にいら立ちを覚える一幕の助けもあり、簡素な説明で彼らが何者か理解できます。

恥ずかしながらアメリカ近代史に関しては知識がなく、西部劇が好きと口では言いつつも今作で描かれたジェシー・ジェイムズについて初めて知った私でも、この映画のさりげない説明描写によって自然と彼らの置かれた状況を理解することができ、感情移入がすんなりできました。

ジェイムズ・ファミリーの具体的な規模が説明されるシーンに至っては、起承転結の転にあたる部分、ジョン・ヤンガーという主犯格のジム・ヤンガーのいとこの18歳の少年がピンカートンの保安官に撃たれ、葬式が執り行われるシーンで初めて示されます。

そこに至る約35分間は、襲撃と会話が2、3度繰り返されるのみです。言ってしまえばそれだけです。

ですが、ガンアクションの箸休めの度に、結婚をきっかけにファミリーから距離を置こうとする者が現れたり、コールがピロートーク南北戦争の敗北をきっかけに強盗団に身をやつした今の状況へのぼんやりとした不安を語ったり、静かに静かに状況が悪化していくことが示唆され続けます。登場人物はいずれも不安の中身を曖昧にしか感じ取れておらず、将来のことは言葉にならないまま激しい強盗の場面がまた始まります。

こうした、徐々に徐々に破滅へ向かう雰囲気作りがたまらないんです。

ジョンの死をきっかけに彼らの運命は静かに転落を始め、繰り返される襲撃のシーンも徐々にうまくいかなくなり、仲間も一人、また一人とジェシーの下を愛層を尽かし、傷つき、離れていくのです。

また、そうしたシーンの数々から、我々観客は彼らの行く末をぼんやりと想像し、身構えていくことになります。そして、徐々に徐々に登場人物との別れを追体験することになりますが、何せ彼らは悪党、しかも仕事の潮時を見切り損ねた袋の中のネズミです。男たちとの別れを受け入れ続け、ラストシーンまでの後味が自然と気分がいいのです。

最後の襲撃、顛末、別れの言葉、訪れるラストシーンの彼らの背中こそが、まさに破滅の美学。かっこいいのです。95分でぐっとくる、アマプラ無料のコンテンツが溢れかえった今だからこそ見て欲しい一本です。

新しいバージョンの吹き替えがないらしく、一部シーン、しかも結構重要だったりかっこいいシーンがいきなり英語音声に切り替わることが多々あるため、吹き替え派は字幕機能のオンオフを調整せざるを得なくなりますが、欠点はそれくらいです。

 

私みたいに見落としている人がいたら是非見て欲しい。あなたの感想も聞きたいから。