ゴジラばっかり擦ったブログ、新作を待ちかねないはずもなく。

70周年イベント、「ゴジラ・シアター」の再上映が予想外に全作完了するなど、長距離走の様相を呈したことで、弊ブログはゴジラだけは一貫性を以て取り扱っていました。
コンセプトと言えるほど熱心に取り組んだこと動機は、来る新作『-0.0』の存在が無視できない要因の1つでした。
と言うのも、私の中でこれが最初の新作ゴジラ体験だからです。
レジェンダリーのモンスターバースがあるじゃないかって?
そりゃもう、髑髏島から*1ずっとブチ上がってますよ。
ですが、ゴジラと言えば国産映画。レジェンダリーの作風がコング主体であることを差し引いても、邦画で続編ラインが続いて欲しいという願望を常に抱えていました。
と言うのも、私が人生で最初に鑑賞した作品がファイナルウォーズだったもので、国産ゴジラの続編を待ちわびるという体験が、ここ数年で初めて味わったものだったんですよね。
シンゴジがもう10年前、無責任にもスタジオカラーはシンゴジvsシンウルをやらないもんですから、全然好きにさせて貰えない環境。
そこで我らが『-1.0』がオスカーまでもぎ取り、70周年のデカすぎるプレゼント!
世界有数の称号を得た、ヒット作の続編というプレッシャーも跳ね除け、続編制作決定。
ファイナルウォーズがファイナルだった弱点が、ついに解消されるような感覚です。
大雑把に計算すれば2004年から待っていたようなもの。
期待値が上がりすぎる不安も勝手に抱えていますが、観れば全てカタがつく。
ネタバレ注意!!
まず語るべきは、プロモーションでも先陣を切り、聞き慣れた鳴き声で襲撃を予感させておきながら、その姿だけを見せなかった我らがモンスター・ゼロ。
キングギドラの2026年最新バージョンが、1949年の世界に舞い降ります。
今までサイボーグになったり異次元生命体になったり新設定に事欠かないギドラでしたが、今回は一体どんなひねりを加えてくるのでしょうか。
意外にも一本首、プレーンギドラが映画の上映開始と同時に襲いかかってきます。
東宝屈指の名悪役が初登場した『三大怪獣』が監督のお気に入りということもあり、野生の宇宙生物であることが強調されつつも、その設定のSF的なエクスキューズにはこだわらず、飽くまで脅威として存在することが問題であり続けます。
それだけでは前作と比較してリアリティラインが低下したようにも聞こえますが、無論それだけではありません。
本作は強烈な反戦・反核のメッセージを含有しながら、子供心に楽しめる怪獣プロレスが同居したある意味究極の怪作とも言えるからです。
全体像についてはさておき、一本首のプレーンギドラ登場から、またしても対処を押し付けられた日本は二匹目の怪獣討伐のため「鳴神作戦」を発令します。
前作クライマックスを締めくくった「海神作戦」の第二陣のように予告編ではピックアップされていましたが、予想を裏切ってこれが大失敗。
雷鳴を食らったギドラはそれすらも餌に、我々のよく知る三つ首のキングギドラへと変身していました。
要するにここからお待ちかねのゴジラとギドラのプロレスに移行するわけですが、プロモーションからギドラの「姿」を目玉のように見せかけ、実際はそこに至る物語が本命であることを伏せていた。
華麗なデコイに引っ掛かり、恐れ入谷の鬼子母神と感服せざるを得ません。
さて、怪獣が二倍なら苦しみも二倍という法則が働いているせいか、前作からのヒロイン敷島典子は大方の予想通り、ゴジラ細胞に適合していたことが発覚します。
ゴジラオタクはどいつもこいつもVSシリーズっぽいの好きすぎだろ
半ば同族と化した典子を囮に誘導し、ゴジラとギドラを意図的に衝突させ、同士討ちから漁夫の利を得るというアイディアが浮上。
しかしゴジラほどの破壊力を誘導できるということは、弾数無制限の核弾頭を敵地に誘導できるようなものですから、当然敷島は拒絶します。
ここで前作に綺麗に終わったはずのドラマを切り崩され、マイナスから更に取り立てるように、予告編であまりにもVSシリーズみたいな台詞を言い放ち話題をかっさらった、村上教授の物語が本筋へとフェードインしてきます。
「毒を以て毒を制すじゃ」なんて言ってる…いえ、予告編のみの本編カットシーンで実際は言ってないのですが、わっかりやすい広島弁で現れたこのお方。
リアリティラインのゆらぎを気にせずはいられませんでしたが、実は彼こそが本作の最重要人物。
令和の芹沢博士です。
専門分野である同族の動物を誘導する装置を用いて、典子をオキシジェン・デストロイヤーへと貶める、悪魔の科学者の顔を持つ男です。
村上の回想と共に、映倫の全年齢ラインギッリギリであろう広島の被爆体験が幾度となくフラッシュバックされ、子も孫も奪った米国への暗い復讐心を抱いているという事実が明かされることで、今作は前作どころか初代ゴジラよりもマイナスへ邁進します。
まず、『はだしのゲン』以来とも言うべき何も包み隠さない戦争の様相がえぐり出され、ギドラ討伐作戦失敗が彼にとっての好機。
つまり、ゴジラ誘導装置を用いて米国本土への報復に見えたことが、嫌でも共感できてしまいます。
現実にそんな余力はなく、ゴジラ&ギドラ討伐もイチかバチか。
しかも、その装置の存在が典子を兵器の燃料に変え、アメリカがゴジラを敵国の領域に誘導する覇業を手助けする可能性が遥かに高い。
科学者としての理性で堪えた彼は、その側面も理解していました。
よって、本作の結びでは研究成果を焼却しますが…
ここからが私の個人的に気に入ったポイントで、芹沢のように綺麗な自死を選ばなかった村上は米軍に捕縛されてしまいます。
次回作への色気、台無しと思われる方がいらっしゃるかと思います。
しかし、この「綺麗に終わらないこと」が前作を受けたアンサーのように見えました。
前作の敷島は、特攻隊員の立場にありながら生き延びたことを悔やみ、家族を得てもなお苦しみ続けました。
そして彼のリスタートをマイナスに蹴飛ばすゴジラ討伐が、決着の場です。
しかし、これは特攻という「綺麗な終わり」から離脱できているのでしょうか。
橘をはじめ周囲の人物の良心と、運がそうさせただけではないかと、前作の批判点として幾度となく指摘されていたポイントです。
その答えを受けた本作のストーリーにおける最大の魅力こそが、「綺麗に終わらない」ことであると私は受け取りました。
原爆投下直後の広島という地獄絵図が嫌と言うほど村上の脳裏から転写され、戦争というものが何も綺麗に終われやしない、暗い感情の傘下であると突き付けます。
家族の犠牲で人が狂っているのに、自分の身を捧げて何が解決できましょうか。
前作続投キャラの中では副主人公と言えるほど出番が多く、ギドラ討伐作戦の過程でついに我が身を投げ出した野田。
彼が抱えていた特攻兵器の開発者という苦悩も、彼の中では死んで綺麗に終わっただけで、残された敷島は顔をぐちゃぐちゃにしながら怨敵ゴジラにギドラ討伐を祈るしかありませんでした。
そして典子の身柄の危機は解消できないまま、敷島一家は居場所を失い夜逃げする。
この終幕は恐らく、投げっぱなしな続編ありきと言った角度の批判を受けるでしょうが、私はそれ以上に「綺麗に終わらせない」ことを評価します。
戦争とは汚く、恐ろしく、感情を引っ搔き回して去っていく。
生きても死んでも禍根が残るならば、せめて生きてこそ続いて欲しいです。
迷い込んだ終戦直前の大戸島から怪獣に振り回され続けた彼が、使命の帯びた場を離脱し、家庭人として生きる新天地へと去ったエンディングこそ、「綺麗に終われない」戦争のいざこざからの脱出として私の心に深く刻み込まれたドラマでした。
さて、長々と辛気臭い話をしていましたが、いつものヤツは前作以上の出来栄えです。
ギドラとゴジラが取っ組み合ってドカーン!!!!!バコーン!!!!
我らが白組のタカシ、信頼できるオタクってのは彼がお手本でしょう。
三大怪獣好きな感じが滲み出ていたギドラ繭に始まり、前半は往年の対決シリーズを想起させる今回のライバルにフォーカス。
空中戦で悪意を振り撒くギドラの描写は、私の期待を遥かに上回り、山崎監督の怪獣愛には敵わないと思い知らされました。
ミリタリーはてんで素人なのであまり多くは語れませんが、この時代の戦闘機が素人目にもかっこよく見える良い空中戦でした。
そして、ギドラに呼応するかのように目覚めたゴジラ。
パンフレット曰く「対決映画用に怪獣目線を意識した」新デザインの我らが怪獣王は、戦争の惨禍というテーマを背負いながらも、どこ吹く風と本能のまま破壊を繰り返します。
特にマイナス・シリーズらしい新機軸に見えたのは、ゴジラ細胞の再生能力のバトル描写への転用です。
今まで超再生能力と呼ばれながらも、映像的には無敵の装甲だった黒いボディ。
しかしこのゴジラは前作から引き続き、自分の熱線で崩壊した顔面が即時再生する不可解な生命力としてまざまざと示しています。
今作はいよいよ怪獣対決ですから、ギドラに噛み付かれた腕が即時再生してラウンド続行できる超能力です!
これはゼロゴジならではだよな~~~たまんねえ~~~~~~ぇ~~~
私を含めて未だに着ぐるみ信仰が根強い怪獣オタクを納得させる、CGならではの描写という意味でも、意義深いバトル描写でした。
他にも『VSギドラ』のポスター再現という異様な同種のオタクへの目配せといい、山崎ゴジラが今回もヒットしたら次は他の怪獣も派手にやって欲しいなと思える、会心の出来です。
エンタメ性・シリーズ性を十分に発揮しながらも、初代よりも切り込んだ「マイナス」を描いた大傑作。
こんな作品が映画館でやってるうちに、観に行かないなんてあり得ないと思います。
私みたいに見落としている人がいたら是非見て欲しい。あなたの感想も聞きたいから。
*1:ギャレスアンチ









