ひとの感想が聞きたいからまずは自分から書いてみよう

アマプラで見た映画の日記です。すかしたレビューもします。

デッドプール&ウルヴァリン観に行きました/ネタバレ山盛り感想

はじめに

わたくし、アメコミ映画ニワカでございます!

にわかファンいてこそのコンテンツとはよく言ったものですが、こんな偉ぶった感想をレビューなどと称して公開する以上、実力を偽るのは不適切でしょう。

MCUに関しても、初めて劇場で見たのがアントマン1作目で、間に合わせるためにひいこら言いながらその時点の過去作をレンタルで鑑賞したものです。

XMENに至っては、ちょうどアメコミ追いかけ始めた時期のFOXマーベル映画がコレだったので、追いかける気が起きず、後から午後ローでシンガー版三部作を見てデップーだけ追うようになりました。

ダークフェニックスどころかアポカリプスですら、多分見ようと思えば見れたんだけど、プロモーションを拾えてなかったのか本当に広告費を削られていたのか、劇場で鑑賞しておりません。LOGAN観に行かなかったのは当時そこまでウルヴァリンに思い入れがなかったのと、逆張りです。

また、映画の下敷きになっているコミックの知識が人並み以上程度にはありますが、

基本的にインターネットで仕入れられる範疇です。コミックにお金を落とすレベルじゃありません。

関連グッズですら、今回の映画ばっかりはクレジットの確認がしたくて初めてヒーロー映画のパンフレットを購入したレベルです。その理屈で買うならインフィニティウォーとエンドゲームのときなんで買わなかったわけ?

また、ヒーロー映画疲れというわけではありませんが、エンドゲームで燃え尽きたせいか、ファー・フロム・ホーム以来のMCUの劇場での鑑賞になりました。

これに関しては、今度は最初から追えるぞと楽しみにしていたDCEUがアレになったことのほうが要因として大きいですね。

ディズニープラスにも加入してないためドラマを追えておらず、今回かなり設定上のリンクがありそうなロキのことも文字でしか把握しておりません。

 

それでも、今回こうして感想を述べさせて頂く理由はただひとつです。

流行ってる映画みんなと感想シェアしたいじゃん

あとはやっぱり、XMENとF4のMCU版の期待値がシンプルに高いものですから。

キャラが好きなんですよねアベンジャーズよりも。*1

デッドプール3として

いつものように、wikipediaまんまじゃないあらすじを自分の言葉で書いてみてアリバイ工作をして、そこから映画のどこがいいか語るなんて狡い真似はしません。

最初に語るべきは、続編映画として面白かったところ、前作との変更点・継続部分、それらがいいのか悪いのかというお話です。

結論から申し上げますと、デップー3としてはかなり無難にイイ感じに仕上がっていると思いました。

ヒューのウルヴァリンがあれやっといて復活するという劇薬で隠れていますが、続編のテーマ設定としては凄く無難です。

デップー1・2の内容が「彼女のヴァネッサを取り返す」「仲間・家族を得る」というアクション映画のあらすじとしては極めてまともなチョイスとなっており、その続編として、前作までで言及されてはいたけど当面の課題としては後回しになっていた

「ヒーローになる」部分を回収したのは、三部作として相当な優等生の脚本でしょう。

今回のウルヴァリンはいろいろあってヒューが20年越しにお馴染みの黄色いスーツを着るという大イベントが予告編の時点で期待されていましたが、実際のところ上手くいっていると思いました。

デップーの返り血OK真っ赤かスーツが横にいるため、シンガー版の世界観で出したら大分浮いたであろう黄色いのも違和感が少なく感じました。まるで20年前からそれを着ていたくらいの安定感すらあります。

せっかくなら、本当にLOGANのユニバースのウルヴァリンを墓から引っ張り出して映画にして欲しかったものですが、今回は別ユニバースの同じ俳優の同じキャラで別人です。

しかしこのユニバースのウルヴァリン、酔っぱらってる間に恵まれし子らの学園が襲撃を受け、しかも間に合わなかったことを悟るや否や現場から逃げ出す

という、どうしようもなくやらかした過去があります。

そのせいで、同じバースのアベンジャーズと対立するわ、世界的に評判が零落するわでもう立つ瀬なしの再起不能です。

そんな状態で現れたデッドプールに半ば騙される形で協力をせざるを得ない状況に放り込まれ、憧れのヒューにメロメロのウェイド?レイノルズと会話させられることで、己がXMENを代表するヒーローであることを思い出していき、そしてそれはデップーの在り方にも影響を与えていきます。

さようならFOX版マーベル映画、MCUにようこそXMEN

ここで、順番は前後しましたがあらすじを書いておきます。箇条書きだけどね。

①デップー2で個人的な事情にケーブルのタイムマシンを使い過ぎたウェイドはTVAとかいうロキのドラマに出てきた時間警察に拉致連行される。

②攫った奴はTVAの中でも反逆者、極悪非道で、恐らくディズニーの事情でFOX版XMENの世界をトンデモマシンで数千年早くぶっ壊そうとしてる

③ウェイドはそれを聞いてTVAのガジェット奪って逃走、ついでに世界を滅ぼさないための「アンカー」になるウルヴァリンを探すが、捕まえられたのは前述の飲んだくれやさぐれ中年だけ

④ウェイドたちが迷い込んだ"虚無"という世界は、カサンドラノヴァなるエグゼビアの双子のヴィランにマッドマックスみたいなノリで支配されてるし、セイバートゥースやらヒューマントーチ、主にFOX制作で公開された映画の登場キャラがわんさかいた。

⑤この虚無、「忘れ去れらたものたちの空間」のゴミとして終わるわけにもいかず、現地で出会った企画が消滅したヒーローたちとチームアップして、カサンドラを倒して元の世界に戻ってTVAのディズニーの使い走りも止める。

⑥なんやかんや元の世界に戻ったウェイドとローガン。ついでに虚無から攻め込んできた無数のデッドプールバース軍団を切り刻みながら、TVAとカサンドラを止める。

⑦ローガンはなんやかんやウェイドの元の世界が気に入って、新たな家族となってアパートに出入りするようになる。MCU版XMENにつづく。

⑧ポスクレはMCUになったけど伏線とかじゃないよ!いつも通りどうでもいい楽屋オチだけどケヴィンファイギがMCU版XMEN0作目って言ってるから続くったら続くんだよ!!

 

この節で重要なのは、ぶっちゃけ④だけ。

FOX版のキャラの同窓会祭り、MCUに含まれなかった、というかFOXが人気順に映画化権買ったらマーベルの手元に残ったアベンジャーズがウケちゃって逆転しちゃった彼らが、画面にこれでもかと映っております。

しかも大体ご丁寧に以前の出演作通り雑な扱いで。

この映画のもう一つ重要なポイント、デップーウルヴァリンでウェイドが嫌々世界を救って俺ちゃんisヒーローを確立する道中で、FOX版マーベル映画にお別れを言うためのカメオが盛りだくさんです。

輪をかけてやばいのが、原作との扱いに乖離があってファンに不評だったキャラや、映画自体のクオリティないしは興行成績がイマイチだったキャラ、続編がポシャった、とにかくケチのついたキャラを、これでもかと登場させています。

そんなことするなら最初からギャラ支払ってイアン・マッケランでも呼べばよかったんじゃないかと思いましたが、デップー自体がXMENZEROの扱いに不満を持ったファンの意見がきっかけのひとつになって生まれた企画と考えれば、壮大な整合性の調整と言えるのでしょうか。

わざわざ24年ぶりにタイラー・メイン連れてきて普通にXMEN1通り雑にしゅっと殺すシーンに始まり、デップー2でイイ感じに作り直したのにわざわざXMEN2のほうの評判の悪いほうのジャガーノートを連れて来るし、X-23再登場を宣伝しといて明らかにキャラ被ってそうなレディデスストライクも出すし…

恐らく、オリキャス陣の中で本当に扱いが悪かったのは予算の関係で早々に殺害されたであろうクリス・エヴァンスのヒューマントーチだけ。

まあ笑って許してくれるでしょあれはみんな。

とにかく、扱いが悪いことが扱いがいいという無敵と化した脚本によって、FOX版いろいろあったねのお別れをします。

トドメにエンドクレジットでこれまでのFOXマーベルの撮影現場を見せて総決算ですよ。ちゃんとXMEN追いかけたいなと思わされましたし、こっからMCU版に期待させてくれる映像としても見えました。

やばすぎるチームアップ、そこオリキャスかよ!

チョイスどうなってんだよ!おい!

虚無に放り込まれたデッドプールウルヴァリンは、ヒューマントーチ/ジョニー・ストームに出会い、カサンドラ一派に捕縛され、無駄口を叩いたせいでジョニーが殺害されつつ、カサンドラから辛くも逃走します。

その後出会うのが、かつてヒーローだったものたち、MCUのラベルがなくてみんなが忘れてしまった者たちで、彼らとチームアップします。

それが事前に予告されていたエレクトラ・X-23、そしてブレイドガンビットです。

まずはエレクトラ、彼女はFOX版とMCU版両方登場しており、私はMCUデアデビルが好きで一応見ていたのですが、如何せん記憶が薄く、あれ?エレクトラこんなんだっけ?もっとカタナのパチモンみたいなコスチュームじゃないっけ?

まあデアデビルじゃないほうの単独作見てないな~

とか言ってたら、なんとベンアフレック版のエレクトラご本人。事前の告知を知らなかっただけに、劇場を出て答え合わせしてたまげました。

後から考えれば、これがFOX版お別れ会と考えると当然っちゃ当然で納得しましたが、最初はチョイスがわからなすぎてレイノルズはクソヒーロー映画に親でも殺されたんじゃないかと心配になりました。

次にX-23。彼女に関しては流石にキャラクターがキャラクターなので、丁重に、かつシナリオを動かす重要な起爆剤としての役割を与えられています。

ローラを出すのに敢えてLOGANと別ユニバースのウルヴァリンにするってのはどういうこっちゃいと思いましたが、子役が女優に成長したという背景を含め、ヒーローの再起という燃えるシーンを、デップーらしくメタネタ盛り合わせで本人らは大真面目にやってくれました。

それでいて、デッドプールのタイトルに相応しいバイオレンスに満ちたアクションをウルヴァリンそっくりに魅せてくれてたまりませんでした。

これがヒューの本当に最後のウルヴァリンで、ローラがウルヴァリンを襲名しても私は納得できる、そういうレベルのアクションとキャラクター性でした。

ローラというキャラのバックグラウンド、メタありきのシーンとは言え、味方を鼓舞し、ともに立ち上がる様はまさにヒーローチームに欲しい逸材です。

 

問題はここから、サプライズのコーナー。

まずブレイドですが、最初に見た時「ああMCU版ポシャったからここでもうネタにしちゃうのね」と思いました。スクリーンに映っているのがスナイプスのブレイド本人と理解できなかったのです。

そもそもPVすら出てないこともあり、マハーシャラ・アリ版はこんなんなのね~って思っていたら、エンドクレジットにスナイプスの名前がブレイドの脇に。

椅子から転げ落ちました。

グリーンランタンに比べると、ブレイド3はレイノルズの出演作の中でこれまで弄られていませんが、一応PVのひとつでイジっていたこともあり、念のためブレイド三部作を見ておいて得しました。

けど、一応で見返したランタンがやっぱり苦痛だったからトントンかな。

というか、ブレイド三部作FOXじゃないよね?

 

次に、ガンビット

彼の実写作品での登場は、レイノルズのウェイドが初登場したあのXMENZEROで、演者はテイラー・キチュ。

ではなく、単独作の企画がポシャったチャニング・テイタム版です。

この空間、そこまであらゆるもののごみ箱なのかよ。言っちゃ悪いけど忘れ去れた以前の問題だろうが!

とは言えこのはガンビット、ギャグもアクションもばっちりで次の出演作で誰が演じても期待できる映像面のクオリティでした。やっぱジョニーCG代足りんくて序盤に殺されたな

 

本当に、本当に今後のMCUが、溢れ出してヒーロー疲れとか言われてるマルチバースマッドネスな現状にどう向き合うかという真摯な回答として受け取れましたし、何よりアベンジャーズ以外のチームがいよいよユニバースに定着するのは単純に心躍ります。

そういう意味では、MCUらしいデップーのリブートだったと言えるかもしれません。

敢えてケチを付けるなら、デップー1・2の独立した感じが失われたことと、ここまでするなら微妙ヒーロー映画族で一番私が大好きなニコラスケイジのゴーストライダーも出して欲しかった、という部分くらいです。

ファイアー小便じゃないほうね。カータースレイドのくだりの燃える展開かたのズッコケぷりとか、映画としてはまあダメなんだけど、大好きな作品です。

https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B0C8SBJQ94/ref=atv_dp_share_cu_r

いつもの2倍近い文章量になりましたが、感想がうっすい。

キャラ目当てで映画を見に行く品のなさを、どうかお目こぼし頂ければなと思います。

次回以降は、平常運転でアマプラで刺さった映画のレビュー更新、刺さらな続けなかったらゴジラ対コング見に行くので月の中盤に。8月公開の新作で見に行く予定のものは今のところありません。

 

私みたいに見落としている人がいたら是非見て欲しい。あなたの感想も聞きたいから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

追伸

youtu.be

ヒーロー熱ありすぎて内容次第でこれの感想毎週やるかも。

 

*1:ガンビットマグニートー、ヒューマントーチ、ドゥームがお気に入りです。

今ならアマプラ無料、シェーンの感想/見てないと人生損してるのは本当だった!かっこよく去る男の教科書

デップーウルヴァリンに便乗した記事なんか書きたい─

引用元:https://marvel.disney.co.jp/movie/deadpool-and-wolverine

個人的には久々に楽しみなマーベル映画がいよいよ今週公開ということで、何か関連したことを封切り前に言っておきたい。

しかし、社会的正しさのサジェストに出て来るくらいみんなのために映画を作っているディズニー帝国は、マーベル映画の悉くを何か差別的なニュアンスを感じ取ったのか自前の配信プラットフォームに隔離してしまっている。

実際のところアマプラでもちょいちょい見られる作品が時期によってあるのだが、XMENシリーズは特に無料がない。最初のジンガー三部作大好きなのに。

とは言え弊ブログ、バットマンの新作アニメがアマプラ配信決まった瞬間にレゴザムービーを紹介するくらい強引でひねくれた方向性でやらせてもらっている。

そういうわけで今回は、ヒューのウルヴァリンの卒業作改め出演前作となったLOGANにて、かなり重要なシーンで引用された不朽の名作、シェーンのレビューをさせて頂く。

あらすじ

画像引用元 https://eiga.com/movie/45100/

南北戦争終結後、ジョー・スターレットたちワイオミングの開拓者は、戦前からこの地に移り住んでいたライカー一家と対立しており、日ごろから嫌がらせを受けていた。

とある日、素性のわからない流れ者が彼らの土地に現れ、ライカーの差し金を疑うスターレット。しかし、後から現れたライカーたちを彼と協力して追い払うことになり、その礼に流浪の男シェーンを夕食に招いた。

息子のジョーイもシェーンを気に入るが、彼の訪れはライカーとの決着の前触れ、血を見る戦いの前触れとなってしまうのだった…

この映画のここが面白い

ガンアクションはほとんど最後の決闘だけ!でもかっこいい!何故か退屈しない!このジャンルは53年に完成していたプロットと演出ですんばらしく面白い!!!!

なんと言ってもプロットの完成度。1953年の映画ですが、いかにヒーローをかっこよく見せ、かつチープな娯楽作にしないという課題を見事に解決しております。

冒頭のライカー一味を追い払うシーンも、シェーンはいきり立ってホルスターをめくることすらなく、スターレットと一芝居打ってハッタリで追い返すシチュエーションです。

シェーンのバトルシーンというべきものも、最初に目に映るのは開始45分も過ぎたあたりのワンシーン、ライカーのシマの酒場で殴り合いの喧嘩をする場面です。

やっとシェーンが銃を抜くのは開始1時間すぎたあたりのジョーイに銃の使い方をねだられて渋々教えるシーン。

その次がラストの決闘です。

この映画で最初に人に向かって銃が撃たれるのは、ライカーが雇った用心棒の黒い帽子の男ウィルソンがスターレット側の開拓民を早抜きで殺すシーンです。実に開始1時間15分頃。

それでもなおこの映画が面白い、ダレないのは、なんと言っても開拓民の生活感を丁寧に丁寧に描いているからでしょう。

スターレットとライカー双方の開拓民としてのバックグラウンド、危険のあまり土地を去る仲間、それでも続く日々の生活、独立記念日フォークダンスパーティーや開拓の仲間の葬式など、色々な角度から彼らの生活が描写されます。

故にシェーンが現れている間、つまりこの映画全編には、シェーンというそうした生活感にまったく合わない異物が、間接的なきっかけとなって緊張感を醸し出させることに成功しているのです。

ラストシーンの彼が土地を去るシーンの台詞も、内容とシチュエーションこそ平凡ですが、この映画でなければ絶対に出せない感動があります。是非是非のオススメです。

 

私みたいに見落としている人がいたら是非見て欲しい。あなたの感想も聞きたいから。

無論、初代ゴジラを劇場で見られるのであれば。

こんなことされてオタクが金を落とさないはずがなかった

www.tohotheater.jp

初代ゴジラを映画館で見られる!

リバイバル上映や名画座に今まで縁がなかったもので、もちろん初見だ。

勝手にクレジットカードからチケット代がアプリに引きずり込まれた。

当ブログは、愛すべきブロックバスター、語り継がれるほどじゃないけど是非オススメの一本の感想をアーカイブすることが主目的だが、こればっかりは許してほしい。

一応アマプラ無料だし今。

https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B00JO61C5S/ref=atv_dp_share_cu_r

上映期間や館数の都合、特定避けのために鑑賞した日時については明言を避ける。

ちなみに、復刻版パンフレットを条件反射で買ったら、帰ってきてしっかりダブりを確認しました。

ディアゴスティーニゴジラDVDコレクション集めてました。

改めて真面目に語る、初代ゴジラ

この映画神ぃ~というのはまあわかってて見に行ったのでどこがどう神なのかというのを、一応レビューの体裁を保つためにやっておきましょうか。

事前にお断りしておきたい要素が一点だけございまして、私「原子怪獣現る」を視聴したことがございません。ございませんが、キングコング(1933)への言及は致しますので、両方の知識がある方にはかなりちぐはぐに見えてしまうかも知れないことをご承知おき下さい。

まずは、けっこう久々*1に見て思った感想は、ゴジラ出るまで結構焦らしてモンスターパニックっぽさが強いな、という点に注目しました。

序盤の海上の連続失踪にはじまり、調査隊がえっちらおっちら派遣され、大戸島の「家がぺしゃんこになるような嵐」にて足が見えるまで、結構上映時間を使います。

そして、かの有名な山のむこうからひょっこり顔を出すシーンでようやっとお披露目!60年経っても愛される怪獣王のスクリーンへのお目見えは結構スローペースです。

また、電車踏みつけおもむろに口にくわえるシーンや、有刺鉄線からの放電攻撃に抵抗して初めて放射熱戦を放つシーンなど、キングコングのような愛嬌のあるモンスターの側面も多く見受けられました。

とは言え、東京に上陸して以降の破壊活動のシーンは劇場で見てみるとシンや-1.0に全く劣らない迫力でした。

空襲をこれでもかと再現した迫力、熱戦を吐く怪獣という空想上の馬鹿げた設定に意味を持たせるには十分すぎる裏付けです。

戦闘機のピアノ線が消されてるバージョンか確認するのを忘れてしまいました。

逃げ遅れ、ゴジラを見上げながら子供三人にお父さんのところに行こうと伝える母親のシーンや、襲撃後の病院の凄惨な光景など、シンと-1.0がオマージュした各ドラマシーンのクオリティも劇場で見た価値は確かにありました。

東京襲撃までかなり焦らしますが、船舶の失踪から大戸島、東京湾襲来まで、官僚や一般市民の緊張感が徐々に切り替わっていき、全てを焼き払われ一旦の絶望に移るプロットは本当に素晴らしいです。

メッセージ性と娯楽性を両立するうえでこれ以上のものはないでしょう。

また、後年のリブートや"GOD"GILLA性を強調するようになったvsシリーズ以降の続編群に比べると、ゴジラがあっさり死んでしまう点も改めて印象深く感じました。

これは、ヤシオリ作戦や海神作戦にあたる部分が芹澤博士の葛藤という要素で補完されており、この心理描写こそが人類のカルマを最も簡潔に表現しているからでしょう。

水爆を超える超兵器となりかねないオキシジェンデストロイヤーの開発者という重荷を背負ってしまったからには墓場まで隠し通すことも辞さない決意、それを揺るがすゴジラの圧倒的な破壊。これ以上の反戦と兵器開発への問題提起があるでしょうか。

山根博士のラストの台詞、「ゴジラがあの一匹で最後とは思えない」はシリーズ化を揶揄して引用されたりしますが、下の句の「核実験によって再び同種が現れるだろう」こそが物語のミソなのです。

 

オッペンハイマーみといたほうがいいかな?まだなんだよね。

 

そういうわけで、珍しく名作映画、しかも一応劇場公開中の作品のレビューをしてみましたが、当ブログそもそもファントムメナス限定上映の感想をTwitterに書いたことがきっかけなので、たまには劇場公開作品も取り扱います。

今んとこデップー、ビートルジュース、スパイダーバース、ヴェノム、メガロポリスあたりはかなり劇場で抑えたいラインナップです。

何ならTVシリーズだけどバットマンケープドクルセイダーとスパイダーノワールは毎話感想やりかねないんだよね。

 

そもそもこの東宝ゴジラリバイバルが毎月変わるからそれは毎回書かなきゃだわ。

 

私みたいに見落としている人がいたら是非見て欲しい。あなたの感想も聞きたいから。

*1:とは言っても頻繁に見返す映画なので何年ぶりかは数えてない

今ならアマプラ無料、コン・エアーの感想/ニコラス・ケイジによる100点満点のブロックバスターアクションヒーロー映画

あらすじ

https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B00GNNTCO8/ref=atv_dp_share_cu_r

*1

湾岸戦争を帰還したキャメロン・ポー(演:ニコラス・ケイジ)は、身ごもった妻と再会したのもつかの間、盛り場で絡んできたチンピラを返り討ちにしたところ、加減を間違えて殺害してしまう。

弁護もむなしく第一級殺人の宣告を受けたポーは、その後7年間凶悪犯ひしめく刑務所で服役する。

手紙のやりとりだけで顔も合わせたこともない娘に再会するために、模範囚として勤めたポーは、7年目の7月14日に仮釈放を認められ、飛行機で護送されることになった。

だが、そのフライトには猛毒のサイラスの異名を持つサイラス・グリサムをはじめ、空からの脱獄を企む名だたる極悪人が同乗していた─

なぜ今この作品なのか

相も変わらずそう言えば見てなかった名作を順番に見ている私ですが、今作の記事をこの日付に投稿したのは理由があります。

作中に7月14日という単語が出て来るからですね。

そんなおふざけは置いておいて、真面目なレビューをひとつ、ここから先に記そうと思います。前置きのネタが思いつかなかったという話ですね。

この映画のここが面白い

ダイハード1みたいな箱モノアクションとダイハード2みたいな空港ドンパチとその他もろもろコマンドーみたいなピタゴラ風穴をニコラス・ケイジが走る!ぶっ放す!突き落とす!アクション映画好きなら見て損する部分なし!

なんでブロックバスター・評論家ウケに中指立てようの会・娯楽大作バンザイの私がこれを知らなかったんでしょうか。

というくらい、アクション映画で見たい要素を全て兼ね備えた映画がこれです。

とにかくニコラス・ケイジがアクション映画の王道を突き進む映像がひたすら面白いことがミソなので、あんまり評価しようにもあらすじ全部書くだけになってしまいそうです。それくらい、映像の迫力とスターの存在感を思う存分楽しめる一本がこちら。

あらすじに反して、極悪人どもにハイジャックされた飛行機を2時間やりすごして娘のところに帰る内容ではありません。映画中盤で中継の空港に到着して以降、悪党どもを逃がすまいと爆破銃撃建造物をぶち抜く破壊の嵐で一気に盛り上げるラスト40分が始まります。

真っ先にポーたちが乗った便の異変に気付いたラーキン捜査官にコンタクトを求める過程なんかも、いい意味でダイハードっぽくてグッとくる男の友情です。

また、「スターが出てるだけ」の印象が強くなる凡百のアクション映画と異なり、サイラスをはじめ悪党どもの西部劇みたいにあだ名がついたキャラクターの伝え方も、安っぽいと感じなければ貴方はブロックバスターアクション映画を愛する私の同志です。

 

私みたいに見落としている人がいたら是非見て欲しい。あなたの感想も聞きたいから。

*1:画像引用元

eiga.com

今ならアマプラ無料、ヘルボーイ/ゴールデン・アーミーの感想/デルトロの描く異形を画面いっぱいに、痛快な冒険を楽しもう。

はじめに

わたくし、アメコミ詳しくありません!

MCUは流行ってるらしいからとレンタルで追いかけ始めて、

映画館でリアルタイムに追いついたのはシビルウォーあたりからでした。

DCも、いざユニバース始まるぞとお触れがあったもんで、DCEUのスケジュールについてく構えでシャザム1くらいまではきっちり追ってましたが、まあね?

ユニバースを把握するための知識の追跡はできるけど一次ソースを保有するほどの情熱はない、といったところでしょうか。

アメコミ買う金多分ゴジラウルトラマンになっちゃうからゆるして…

ですがレビューをする以上、ある程度原作はこうで改変があってだとか、これは何回目のリブートで制作側にはユニバース化の思惑があってという言及をこの手のジャンルで避けることはできません。ご容赦くださいませ。

 

今回に関してはシェイプオブウォーターまだ見てないことのほうが致命的な気もするけど

VOD時代にリブートまみれがわかりづらいんだよ2000年代のアメコミ映画!

さて、この作品の立ち位置、というか何の映画化なのかという問いを明確にせねば話は進まないでしょう。

普段ヒーロー映画を見てない人は未だにアメイジングじゃないほう3がなかったほうアベンジャーズのほうスパイダーマンの区別がつかないでしょうし、ヘルボーイもそういう位置づけにあります。

ダークホースコミックが原作権を持つこのヘルボーイという作品は、2004年にギルレモ・デル・トロのメガホンで一作目が制作され、直接の続編としてゴールデン・アーミーが2008年に同じスタッフの手によって世に放たれ、2019年にスタッフが全然違うけどまったく同じタイトルのヘルボーイが公開されいます。

そう、今回レビューするのはデルトロ版の二作目です。

しかも私一作目知りません。

なんでそんないい加減なことするのかと聞かれたら、

なんでアマプラにデルトロ版の1作目だけないんだよふざけんなって怒ります。

スタッフ・キャストでソートかけてもデルトロ版1作目だけレンタルすらないからないっぽい。情報求む。

ですがどうか安心してください。

この二作目、これだけでハイパー大満足のいい娯楽作です。

 

追伸

ヘルボーイ今度もう一回リブートされます。

theriver.jp

youtu.be

あらすじ

https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B00G9TPRF4/ref=atv_dp_share_cu_r

ナチスのどさくさで地獄から人間界に転げ落ちた悪魔の子ヘルボーイは、サンタを待ちわびて寝られないクリスマスイブの夜に、養父の教授からおとぎ話を聞かされて寝かしつけられていた。

その昔、魔物の住む世界を侵略して回る人間の蛮行を悲しんだエルフの王にとあるゴブリンから提案がなされた。

彼が齎した設計図によって"黄金軍団"と呼ばれる心無いブリキの軍団が創られ、人間たちの侵攻はかくして阻まれたのだ。

しかし、黄金軍団のあまりに大きすぎる力、粗暴で心無い戦い方に心を痛めた王は停戦を求め、人と魔物の世界を分かち、森に消えゆくとともに黄金軍団を制御するための王冠を3つに分ち1つを人間界に残した。

数十年後、超常現象調査防衛局(BRPD)のエージェントとして活躍するヘルボーイは、レッドのコードネームとともに暴れまわり、魔物の存在を隠したい上層部の頭痛の種となっていた。

とある日のミッションで、歯を食い破る妖精に荒らされたオークション会場に訪れた一行はイナゴのような彼ら妖精に苦戦するあまり、ついに悪魔たちの姿を市民の下に晒してしまう。

テレビが自分の話題で持ち切りになっていい気になるレッドだが、実はそのオークションに黄金軍団を率いる王冠のかけらが出品されており、歯のバケモノを放った黒幕がエルフ王の実子であるヌアダ王子であることをまだ知らない─

この映画のここが面白い

ヘルボーイと仲間たちのビジュアルの圧倒的説得力!エルフたち魔物もとにかく見たら圧倒されるデルトロの美術!色んな世界を動いて回ってインディみたいな冒険活劇でとにかく楽しい!!

わざわざ2だけ見てレビューを書いたのはとにかくこれです。

デルトロ映画の美術はやっぱすげえわ。

俺シェイプオブウォーターまだ見てないけど。

この美術が凄いってのは結構ヒーロー映画において重要な要素で、彼らがどういったキャラクターか示すためにいちいち台詞を使わないで済むというテンポ面で無視できない重要な役割を果たすんですよね。

バットマン(1989)やスパイダーマン(2002)なんかも、そのへんが得意なティム・バートンサム・ライミの得意分野が発揮されたいい例であり、この映画もそれにあたります。

また、2であることから、トーマス・ウェイン夫妻が暴漢に襲撃されるところとか、ベンおじさんがやっぱり暴行を受けて遺言を残すという、ヒーロー映画の必要なんだけど本家ですら扱いに困ってる要素をすっ飛ばして映像を楽しめるのもいい部分でしょう。

無論、前作で説明したからいいでしょ?って態度ではなく、初登場のシーンのちょっとしたコミュニケーションや戦闘シーンで彼らがどういう能力を持っているのかすぐにわかってしまいますし、それを成しているのがやはり美術面の精巧さの手柄でしょう。

また、最初の戦闘シーンである、ニューヨークのオークション会場に放たれた歯を食い破る妖精退治のシーンに始まり、エルフ城、ハリポタみたいにトロールが裏通りに隠した市場、黄金軍団が眠るアイルランドの山間の遺跡まで、とにかくビジュアルがすごくって見てて飽きない!

ブレイド三部作やホビット三部作に参加するデルトロですから、こういう異形のものたちで動かす話の運び方が上手なんでしょう。

wikipediaの記述に曰く監督の趣味で原作にない要素なのに突っ込まれたちょっとしたクトゥルフっぽさも相俟って、全編クリーチャーに浸れる素晴らしい作品です。

味方だけでもムキムキ不摂生悪魔・魚人・全身から火が出る美女・幽体離脱ができる体を持たない宇宙服男など、バケモン揃いで見てて飽きません。

強いてケチをつけるなら、メインシナリオの進行がテンポよすぎてヘルボーイが民衆に掌返されるシーンがちょっと強引っぽく見えるのと、

一応続編なので「これって前作で解決したことなのかな?」「ここの人間関係の些細なぎくしゃくは前作と地続きなのかな?」などと思うシーンがなくもないくらいでしょうか。

クリーチャーとすぐそこある魔界を西へ東へデビルでインディな映画でした。

ファンタジーと冒険とクリーチャー、どれかひとつが好きなら是非見てください。

今ならアマプラ無料。

 

私みたいに見落としている人がいたら是非見て欲しい。あなたの感想も聞きたいから。

今ならアマプラ無料、LEGO ムービーの感想/おもちゃで描く子供向けの映画、衝撃で納得のどんでん返しをとくと見よ

バットマンの新作がアマプラで配信される─

youtu.be

https://x.com/PrimeVideo/status/1805994809070322001

これはファンにとって結構なニュースだ。

アマプラでDCコミック関連作を漁るとき、リブートのほうのスーサイドスクワッドだけ有料になっちゃったり、単独作品が無料のヒーローとそうじゃないヒーローがいたりと、ワーナーとDCのどっちの方針かよくわかんないけどU-NEXT移行かユニバース再編成のなんかのせいか、とにかくでごちゃついてる。

そんな中、知る人ぞ知るDCのカートゥーン部門、

あのハズレがないバットマンのアニメの新作がアマプラにやってくるのだ。

DCの新作はちょくちょくアマプラに供給され続けているので、実際にはそこまで驚くことではないかも知れないし、OVAをレンタルする金もケチる私が浅慮なオタクな可能性は高い。

だけど、アマプラならではのラインナップがザボイーズインビジブルってのは

内蔵ぶちまけ成分が強すぎだろ!!

ともあれ、ケープドクルセイダー記念。

ここはロバートパティンソンの2022版バットマンを勧めるようなブロクではないので、少しひねた作品をいってみよう。

アニメ関連作、即ちレゴバットマンだ。

この作品は、大ヒットしたLEGOムービーのスピンオフであり、どっちかつとトニースタークみたいな性格のバットマンことブルースウェインが、ロビンやバットガールなどのバット"ファミリー"と本当に打ち解けていくことで、自分のヒーロー性を取り戻す。

その後、なんやかんやでヴォルデモートキングコングサウロンなど当時ワーナーが権利を持っていたヴィラン軍団が攻めて来るのを阻止する愉快な映画だ。

ふざけたプロットだが、ダークナイト風じゃないほうのバットマンのよさ、Mr.フリーズでやりたかったファミリー向け路線のリベンジを果たした素晴らしい作品であり、新DCユニバースのバットマン*1もそっち路線らしいから…

ダメじゃねーか!

終わりだ、この下書きも水の泡。

860文字の苦労はゴッサムの闇に消え…

こっちの映画もバットマンの出番多い*2バットマン映画ですわ。

あらすじ

https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B00M2QEB32/ref=atv_dp_share_cu_r

*3

ごく普通の建設作業員エメットは、決まった時間の出勤・労働・仕事終わりの食事付き合いなど、極めてマニュアル的な生活を繰り返しており、本人もそれに満足していた。

とある日、帰宅間際に風に吹かれて散ったマニュアルを追いかけて工事現場のはずれに流れ着いたとき、関係者以外立ち入り禁止のエリアに忍び込む美女を見つけてしまう。

彼女を追った先で、足を滑らせ謎の空間に迷い込んだエメットは、突如謎のレゴの1ピースに見出された、選ばれし者となってしまう。

わけもわからないまま工事の大元請けにして街の支配者であるおしごと社長に処刑されかけた彼は、謎の美女に救出され、壁の外に脱出する。

そこには西部劇、中つ国、雲の上の楽園など、個性溢れる世界が広がっていた。

しかしこれらの世界も選ばれし者が守らねば、おしごと社長に征服される一歩手前のひっ迫した状態にあったのだ─

この映画のここがおもしろい

子供向けの玩具らしいビジュアルの要素、ワーナーの版権を品がないくらいにふんだんに使ったファンサ要素、そして映画のテーマ性を保持したまま納得させられる、

やられた!と言わざるを得ないどんでん返しの映画です。

この映画を一言で表すならば、ホームアローンジュマンジスーパーマリオブラザーズムービーのいいとこ取りです。いや、冗談ではありません。本当です。

子供の視点で話を転がす子供向け映画の手法はそのまま、テーマ性を示すのが本当に上なんです。

序盤にエメットが生活しているブロック・シティは先述した通りこの映画のラスボスであるおしごと社長に支配されたディストピアですが、ここでエメットが毎日手放さず従っていた生活の"マニュアル"や、彼らが歌っていた1984じみた洗脳ソングですら意味のある描写として後から活きてきます。

それでいてやばいのが、この映画バットマンが脇役として上映時間の7割くらい、そのポジションがジャスティスリーグの他の誰かでもいいくらいのお助けポジションとして、でずっぱりです。

というか、ジャスティスリーグの他の面子は普通にカメオと言えないくらいには台詞と意味のある脇役として出てきますが、バットマンはポスターにいるくらいなのでメインキャストで扱いが違います。

そんなことをしておいて、映画のテーマは一切損なわれないところがこの映画の素晴らしい部分です。

ジャスティスリーグを含めた色々なワーナー版権キャラの扱いに滅茶苦茶差がある、というかレゴじゃなかったら怒られるくらい雑に扱われるのですが、この点も最後まで見て是非確認して頂きたいです。

多分私のブログにフラッシュ*4が好きで好きでたまらない人がいらっしゃることはないでしょうし。

子供向けの映画であることもまたシナリオ上の意味として活用されているので、最初から最後まで子供向けですが、ホームアローンみたいなものとして受け取って頂けたらなと思います。決して大人の鑑賞に耐えない作品ではありません。

何せ、ビジュアルの迫力は大したもんだし基本は子供向けでそこまで入り組んだシナリオも長い上映時間はないもんで、是非見て欲しい一本です。

 

私みたいに見落としている人がいたら是非見て欲しい。あなたの感想も聞きたいから。

 

*1:パティンソン版とは別で娯楽路線の計画もあるらしいです

*2:上映時間の7割出てます

*3:画像引用元

warnerbros.co.jp

*4:多分ヒーローの中で一番扱いが雑

今ならアマプラ無料、RONINの感想/スパイ映画のついでにフランスの景色を堪能できるかっこよすぎる旅行映画

そろそろ午後ローっぽくて面白い映画が見たい

午後ローっぽさってなんだ。

たぶん、いい感じにマイナーで、それでいて名優が出ていて…

あれ?でもそれってドルフとかヴァンダム主演のあの…

 

自己紹介記事にて、私の映画好きが午後ロー由来の下賤な出自であることは説明した通りです。

それ故の病理、別に名作でもないけどイイ感じに楽しめる映画が欲しくてたまらなくなってしまうんです。言い換えればマイナー厨ですね。

初期の執筆記事からして、シュワちゃんのコメディで最初にトゥルーライズじゃなくてキンダガートン・コップいく時点でお察しの通りです。

羊たちの沈黙シックス・センスとそれから時計仕掛けのオレンジを最近見ていたけども、やっぱりここで紹介すべきじゃない。だけど映画がみつからない。

そんなときTwitterに神はいました。

https://x.com/tx_gogoro/status/1800357283970322860

TVで流れているものをわざわざアマプラで…?*1

あらすじ

https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B016J3EHGO/ref=atv_dp_share_cu_r

*2
冷戦終結後のパリ、「とあるアタッシュケースを奪取する任務」のために、サム(演:ロバート・デ・ニーロ)やヴィンセント(演:ジャン・レノ)をはじめ、フリーのエージェントたち5人が集められた。

男たちは依頼人ディアドラ(演:ナターシャ・マケルホーン)の背後にいる黒幕の存在をはぐらかすような態度に不信感を覚えつつも、粛々と準備が進められ、決行日は訪れた…

この映画のここがおもしろい

出てくる俳優みんなしてかっこいいしパリもローマも名所をなめ回すように映してアクションするから目の保養に最適!!

スパイ映画は007からして旅行映画の側面もあるからもっと勉強しろなんて言わんといてくださいな。

この映画は、最初から最後まで映り続ける主演俳優裏切りに次ぐ裏切りカーチェイス、そしてミッションの舞台になったロケ地をあますことなく画面に映した王道スパイ映画です。

じゃあボンドやトムクルーズの映画を見りゃいいじゃないか、とお考えになる前にちょっと待ってくださいな。

主演がデニーロとジャンレノですよ!デニーロとジャンレノ!

スパイ映画って作成当時のスター俳優のオールスターみたいな側面みたいなところあるじゃないですか。ローニンで諜報員やってるデニーロとジャンレノはこの映画でしか見られないんですよ!!

まあ、そういった大作映画的な魅力をゴリ押すのはほどほどに、固有の面白さについて考えてみましょう。

やはり、リアル調のスケール感フィルム・ノワール的なダークでマフィア映画めいた雰囲気がこの作品ならではでしょう。

007やM:Iシリーズ、果てはそうしたスパイ映画に対して愛のあるパロディとアイロニーを籠めたキングスマンですら、諜報活動の末になんやかんやで世界規模のテロを防いだりします。

しかし、この映画ではそんなことは起きず、終始アタッシュケースの行方を追い続けるデニーロとジャンレノを描くことになります。

彼らの行動が徒労だったと思わせないように、ケースの正体はそれなりのものですが、それでもボンドやイーサンが止める危機に比べたら小さいものです。

ですから、銃撃戦にしてもどちらかというと暗殺チックに静かな立ち回りが最後まで続きます。流石にカーチェイスはアクション映画らしいド派手なものですが、ガンアクションのじっくり目標に接近する緊張感も相俟って、ロケーションの街中をついでに楽しめちゃいます。

この、スパイ映画らしく、そして他のスパイ映画以上に風景を堪能するシーンが多いことが、この作品の最大の魅力です。

ノワール的作風を引き立てる雨や夜、ボロ屋などの薄暗いシチュエーションも二人の主役のかっこよさを引き立てています。

また、暗がりから一転して白昼堂々のカーチェイスが印象に残りやすく、よりこの映画の旅行映画的魅力を盛り立てていると言えます。

シナリオも、ケースの中身や依頼人ディアドラの謎に始まり、裏切りに次ぐ裏切りや消えゆく仲間たちなど、スリルを引き立てる要点と緩急はしっかり押さえてて見ごたえがあります。

映画の評価と直接関係ありませんが、吹き替えのDVD用バージョンがないらしく、字幕部分が多く、しかもprimevideo側で操作しないとフランス語パートの字幕が表示されないという、吹き替え派にあんまり優しくないところが難点でしょうか。

あと、ローニンというタイトルですが、道中で登場するセーフハウスの家主が何故か赤穂浪士ジオラマを所持しており、冷戦の終結で行き場を失った諜報員を四十七士になぞらえて語るというよくわからないシーン以外で映画に関係ありません。

ですが、ラストサムライ的な内容を期待してこの映画を見に来る人はまずいないので、問題ないでしょう。

くどいようですが、デニーロとジャンレノのスパイ・ノワール・旅映画ですよ?かっこいいんです!オススメなんです!

 

私みたいに見落としている人がいたら是非見て欲しい。あなたの感想も聞きたいから。

*1:うちにTVないから無駄じゃない!無駄じゃない!

*2:画像出展 映画.com

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