俳優の名前で見たと公言するのは少々不謹慎な映画ではありますが
ハリソン・フォードとリーアム・ニーソンの中に、ハン・ソロとクワイ=ガン・ジンを見出して見た。などという動機でピックアップしたことを公言しようものなら、袋叩きに合っても仕方がないほどシリアスな作品です。
何せベースは実在した作戦。公開当時は遺族どころか存命の乗員も存在していた、ソ連軍部によって隠蔽された原子力潜水艦ミッションを扱う作品です。
それでも、以前紹介させて頂いた「ムーラン・ルージュ」のように、スターウォーズきっかけとして持ち出した理由があります。
潜水艦という海底の密室サスペンス、核を扱うだけで生まれる緊張感、功名心と救命の軍人の葛藤。
映画として、シンプルに面白いのです。
あらすじ
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ソ連最新鋭の原子力潜水艦「K-19」は、艦長のアレクセイ・ボストリコフ(演:ハリソン・フォード)率いる精鋭を乗せて、ミサイル発射実験の作戦行動を開始していた。
国家の威信を賭けた任務に挑むクルーたち。だが、船内の雰囲気は些か不穏。
野心垣間見えるボストリコフの過剰な部下への叱責によって、副長のミハイル・ポレーニン(演:リーアム・ニーソン)に信頼が寄せられ、ある意味では独裁国家の秘密任務らしい剣呑な緊張感が船内に蔓延っていた。
ミサイル実験成功の安堵に包まれた雰囲気も束の間、原子炉トラブルが発生する。
国家の威信を賭けた船は、独裁の病理と各人の思惑の重みがのしかかり、海中の密室はパニックとミステリーへ潜り込むのであった…
この映画のここが好き
海底の密室!野郎どもの思惑!対立!そしてピンチ!!息もつかせぬサスペンス!!!
実話ベースに映画的脚色とは言え、不謹慎な言い方に聞こえるかも知れませんが、極めてドラマチックでメリハリの効いた構成が魅力的です。
前半はハリソン演じる艦長ボストリコフが結構嫌なヤツとして描かれます。ミサイル発射実験の現場に到着するまでは、艦長と乗員たちの代弁者を買って出た副長ポレーニンの対立が映画の主題です。
乗員たちの陰口などを通して、ボストリコフの軍人としての経歴、今に至る顛末。バックグラウンドに言及がされ、彼の観客の印象は変化します。
もしかしてと思わせたところで、映画の主題はエンジントラブルに転がり落ちます。
一気にデッドオアアライブの状況に放り込まれた一同。ボストリコフのバックグラウンドを通して、前半部分で布石が敷かれたソビエト軍部の事情。簡単に帰れず、単純に帰るだけにもいかず、ミッションを成功させねばならず。
独裁政権における軍部の脆さも、密室のサスペンスの緊張感を高めております。
かと言って、ソビエトを批判するだけが目的でもない部分が上手なところ。
飽くまでソビエトは時代背景で、そこで軍務に生きた人々を描く作品です。
強いて遺族に失礼な部分があるとすれば、ロシア人しか出てこないのに、あまりにも聞き取りやすい英語が目茶苦茶気になることと、こういうのに限って吹替版がアマプラにないことです。
私みたいに見落としている人がいたら是非見て欲しい。あなたの感想も聞きたいから。