かえってきたアマプラ無料映画無責任感想ちゃんねる
10月から11月にかけては、元から張り付く気マンマンだったゴジラ・シアターの再上映はともかく、ビートルジュースなど、新作で見たい映画が多いシーズンでした。
忙しさはそのまませっせと劇場に足を運ぶもんだから、アマプラ無責任レビューシリーズはじつに二か月ぶりです。
さて、今回ご紹介致しますはかの名探偵エルキュール・ポアロの小説を映画化した「ベネチアの亡霊」。監督・主演はケネス・ブラナー。
「マイティ・ソー」などでメガホンをとった経歴もある、監督・俳優歴の長い大ベテランです。
彼が主導するポアロシリーズ、実は本作が3本目。脂ものってきたシリーズの、ベテランによる、有名原作の映像化。期待値は高く持って良いのでしょうか。
二か月ぶりの平常運転ブログ記事、じつは動画投稿も並行して始めたので、ぜひ。
あらすじ
視聴ページはこちら
https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B0CGVS8RNY/ref=atv_dp_share_cu_r
探偵稼業に疲れ、引退して身を引いたポアロ。
ベネチアの邸宅にて、ボディーガードを雇って全ての来客を追い払い続ける彼の元に、旧友の女流作家アリアドニ・オリヴァが訪れる。
流行り病の子供死んだ霊が出ると噂の屋敷にて、主人が招いた人気霊媒師ジョイス・レイノルズがオカルティックな儀式を行う。
オリヴァの情報に好奇心を抱いて引退を退いたポアロは、ハロウィーンの最中、幽霊屋敷へずかずかと足を踏み入れるのであった。
この映画のココが面白い!
シャイニングばりにガッツリホラーな演出を、ポアロが理論と実証と空気の読めなさでぶち壊す、ジャンル映画の事故が起こす化学反応のテンポがたまらない!
原作は古典と言って差し支えない年代の遠い時期に出版された作品で、プロットは極めて基本に忠実、と言うか基礎を組み上げた作品のひとつです。
ともすればチープ、ありきたりに見えかねないことが原作の古さのデメリットです。
しかしこの作品は、探偵モノらしくスマートに問題を解決しています。
まず幽霊屋敷という事で、ホラーの要素も少しは含まれるわけですが、この映画のホラーシーンは、メインを疑うレベルでしっかり怖がらせにきています。
というかほぼシャイニングです。
それのどこが探偵らしいやねんという話ではありますが、剥き出しのシャイニングの雰囲気を、ポアロのターンが始まった瞬間に、一気に推理を聞かせてしまう構成が見事なのです。
霊が出ようと死人が喋ろうと、これは幻覚これは協力者がスイッチ押してるだけ、などと逐一原理を暴いてマジレスします。その指摘のシーンも面白く作られています。
階段を降りながら、地下室の扉を蹴破りつつ、移動の最中のアングルでロジックを説明するものですが、ダレる展開になりません。
探偵小説自体、スパイもののように、色んなジャンルvs名探偵をやるのが本来の魅力で、ある意味原点回帰と言えるのではないでしょうか。
古い原作ただのリブートで済ませず、主演にして監督のブラナーのコテコテな偏屈中年を画面の真ん中に、舞台演劇のような大袈裟な身振り手振りやシーンの切り替わりで魅せる。現代のエンターテインメントと古典の融合が、私にとって非常に魅力的でした。
上映時間も100分代で、サクっと楽しめます。
私みたいに見落としている人がいたら是非見て欲しい。あなたの感想も聞きたいから。